はじめに
椅子取りゲーム社会で生き残る方法 とサブタイトルがついた本書。
まずいラーメン屋はどこへ消えた?「椅子取りゲーム社会」で生き残る方法 (小学館101新書)
- 作者:岩崎 夏海
- 発売日: 2013/06/03
- メディア: 単行本
筆者は秋元康さんに従事し、「もしどら」でも有名な岩崎 夏海さん。
本書では、昔は「立地のいいところにあり、一通り故に人が入って潰れはしない、まずいラーメン屋がどこにでもあった」が今はそれがなくなったということを例に競争の変化について語っています。
クチコミがまずい店を駆逐した
まずいラーメン屋が消えたのはインターネットのせいだった。
インターネットの持つ口コミの力が世の中からまずいラーメン屋を一掃してしまった。
という本書の一節にある通りで、人気店は長蛇の列なのにイマイチなお店は閑古鳥状態。
こればっかりはSEOの世界でも同じで、いい記事(Google検索結果上位)に潜り込まないとなかなか見つけてもらえない面はたしかにあります。
捨てられない富士フィルムと捨てたアップル
本書では厳しい競争社会ではイノベーションが大事で、それは「捨てる力」が肝であると語ります。
具体例として挙げられていたのが
富士フィルムの写ルンですは、かつてはお化け製品だった。80年代の後半に発売されると、瞬く間に史上を席巻した。
が、2000年代後半になるとデジカメと携帯電話の台頭で失速、でも富士フィルムは減産に取りかかれなかったのは「過去の栄光」を捨てれなかったからと本書は分析します。実際、発売中止になったのは2011年。
これとは対比的にAppleはもともと社名が「アップルコンピュータ」だったにもかかわらず、ITunesやAppleストアの配信ビジネスに手を出したあたりで
アップルコンピュータという名称は今やこの会社に相応しくない
と取ることをジョブズは決断。
しかしこれも一悶着あり、ビートルズの版権管理会社「アップル・レコード」が既にアップルを商標登録していたという話。これもジョブズが粘り強く交渉し、600億近い和解金をはらってでもその決断をしたんだとか。おもしろい。
終わりに
本書では椅子取りゲームに勝つためには?というテーマでいろんな例が挙げられていましたが、Appleは「椅子取りゲームに買った会社」として紹介されています。
その中でも上に上げた社名の話はおもしろく、心に残ったので紹介してみました。