はじめに
IBM、分社するマネージド・インフラストラクチャー・サービス事業の新会社の社名を「Kyndryl」と発表
上記ニュースの中を読むと新会社名を「Kyndryl(キンドリル)」とし、既存のIBMから切り離すみたいですね。これ、IBMブランドで仕事していた人たちは結構の衝撃なのでは?色々と情報を読んでみました。
どういう分かれ方?
Kyndrylは「業界で最も経験の豊富なサービス専門家により、世界で最も重要なビジネスや組織のために、最もモダンで効率的、かつ信頼性の高いテクノロジー・インフラストラクチャーを設計、実行、管理」する会社。要はインフラ屋さん。
一方でIBM は「世界をリードするハイブリッドクラウドと AI、およびビジネス・サービスを提供」する会社。要はハードとソフトを持っているアプリ屋さん。
一応公式ページには以下のように記載があるので完全に別物ではなく関係性は残るみたいです。
IBMはKyndrylに投資を続け、市場でのリーダー的地位を維持し、マネージドサービスを革新するために起こっている変化を利用できるようにします。IBMとKyndrylは独立した別個のエンティティですが、立ち上げ時には、両方が互いの最大のクライアントであり、互いの主要な戦略的パートナーの1つになります。Kyndrylは、引き続きIBMのハードウェアとソフトウェアを提供します。
ちなみに日経コンピュータでも同分社化に解説記事があり、要点は以下とのこと。
- 2021年末までに顧客企業のシステム運用やネットワーク構築を行う部分を切り離す
- 切り離す分野は全社売上の1/4
- 分割会社はマネージドインフラストラクチャーサービスで世界最大手になる見込み(受注額は600億ドル)
- 新会社はクラウドやAIに注力する
クラウドやAI分野は将来性がある分野ではあるので、IBMよりは成長が期待できそう?...
思ったこと
IBMって日本だとNTTデータや富士通と並ぶ大きい会社ですが、それがいきなりベンチャーみたいな企業名に変わってしまう。そして中で働いている人は「IBM」に入ったつもりなのに「Kyndry(キンドリルジャパン)」という会社の社員になるという。
「どこで働いているの?」
「キンドリルです」
「キンドリー?...あー、あの電子書籍の?」
「それはキンドル(しかもアマゾンは競合やで)」
みたいなショートコント展開になりそうで社名に「IBM」は残しておいた方がいいんじゃないかなぁ...と老婆心ながら思います。今年の新卒の人は大手SI企業としての「IBM」に入ったと思ったらインフラ部門を切り出したベンチャー企業「Kyndryl」に飛ばされた...みたいなことになるのでは。
ちなみに同社名は”分かりにくい”と海外で結構ディスられています...。
終わりに
最近だと日本ユニシスが社名を「BIPROGY(ビプロジー)」に変えたり、富士通もデジタルトランスフォーメーション(DX)舞台を新会社である「Ridgelinez(リッジラインズ)株式会社」として分社化したりしています。後者の例でも「富士通」という文言が入っていないので、IBMの分社化もそれと同じと思えば同じではあります。
ちなみに私は配当目当てに同社の株を300株ほど持っていますが、分社化することで株はどこに紐づくのか?暴落するのか暴騰するのか?....という点が気になる今日このごろです。(後日記:2021年10月25日時点にてIBMの株を5株持っている人にKyndrylの株式1株を配る模様)