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【殺し屋と呼ばれた将棋指し伝説】小池重明のドキュメンタリーを見た感想

はじめに

ハチワンダイバーという漫画を読み、「真剣師(賭け将棋で生計を立てている人)」という存在を知り、それを辿っていくと「今はいないけど過去に小池という真剣師がいた」とのこと。

気になって調べると、タイトルのドキュメンタリー映像を発見したのでそれを見た感想をネタバレ有りで書いていきます。

ちなみに書籍や漫画にもなってるんですね。

幼少期〜成人期

昭和22年生まれの小池は、父親は傷痍軍人のふりをして物乞いをし、母親は夫に内緒で娼婦をして生計を立てる両親に育てられます。そして博打が好きな父親に将棋を教わると、勉強そっちのけで将棋にのめり込みます。

ここからは「将棋で食べていきたい」と思いながら、赤線宿(今は違法の売春宿)の番頭などをしながら賭け将棋をしていました。そして辿り着いたのが上野の将棋センター。そのセンターに指導として来たプロ棋士と対戦し、まさかの勝利。それに沸いた将棋センターのメンバーに調整をしてもらい、プロの師匠に弟子入りすることに。

ところが、キャバレーの女性に入れ込んでしまい、将棋センターの金に手をつけてしまったこともあって皆から見放されて名古屋に行きます。波乱万丈…

アマチュア名人

名古屋では葬儀屋の仕事をしますがそこで出会った女性と駆け落ち。子供も授かりますが、数ヶ月で死亡してしまいます。それに放心状態となった小池は仕事も手につかなくなったものの、子供のことを忘れさせてくれる存在として再度将棋の世界に入り浸り、新宿の賭け将棋の店に籍を置くと連戦連勝、「新宿の殺し屋」と謳われるようになります。

ところが、強さ故に誰も対局したがらず、家庭を顧みない小池に愛想を尽かした奥さんも離れてまたもや孤独な人生に。見かねた仲間がアマチュア将棋大会に小池を連れていくと、当日は泥酔&徹夜明けにも関わらず優勝。そしてその現場にいたのは当時は少年の羽生善治。後に「生き様と同じで型破りな将棋をする人でした」というコメントもあるというのがなんとも面白い。ちなみに、アマチュア王者になった小池はまだ33歳。すごい人生…

小池の最期

そんな小池は相変わらずキャバレーの女性に入れ込んだりサラ金に手を出したりと破天荒ですが、アマ名人という立場もあり大山永世名人と角落ちで対局する機会が。

そこでも小池は勝利し、大山に「プロになりたい」と直訴。プロ棋士の年齢規定からすると認められないものの、その実力を見た大山は「私がなんとかしよう」とかけ合うも当時の棋士総会にて素行の悪さが原因でNG。そらそうよ…

小池は将棋から離れて肉体労働をしますが、やはり将棋の熱が捨てられずに当時将棋雑誌を出していた団鬼六を訪ねます。団は当時のアマチュア名人を連れてきて小池に挑ませますが、小池は2年ぶりの将棋にも関わらずまさかの完勝。団鬼六は「殺し屋小池健在!」と将棋雑誌に載せました。小池さんマジで将棋に関しては天才なのでは…

しかし不摂生からか病気にかかり、病床につくも団鬼六の計らいで新進気鋭のアマを連れてきてもらい最後の対局として戦うとここでも完勝。本人は「これで死んでも本望だ」と語り、そのまま数日後に死亡。享年44歳。若すぎる…

終わりに

話の中で何度も「人の金を持ち出す」「キャバレーの女性に入れ込む」などが出てきて、「だめだこりゃ」と思ったりもしますが、幼少期の体験(娼婦の母親の見張りでお小遣い稼ぎ)というのは今の感覚だとショッキングにも捉えれて笑う気にもなれず。

そんなドタバタ人生が痛快なのは、ことごとく勝負には勝ってきている事実。
永世名人に角落ちとは言え勝利したことがある事実一つとっても、本当に伝説のような人物だったんだな〜としみじみしました。