本音レビューログ

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【それでもしますかお葬式】葬式したいですか?編がとにかく泣けて考えさせられる

はじめに

向井朝子は葬儀社「羅生苑」の新米社員。サクラを使って会員増を目論む腹黒上司や、戒名付けを葬儀社に押し付ける僧侶に唖然としつつ、「本当にお葬式は必要なのか?」と自問自答を繰り返す日々。 ..

という一見ヘビーそうな紹介ですが、最初の3話で描かれる 葬式しますか?遺体の引き取りを拒否しますか? というテーマの話がなんとも感動的。以下はネタバレありの感想です。

引き取る?

葬式屋で働く女性主人公は葬式に懐疑的。
裏方としてお坊さんと接しても、お坊さんは「20万しか入ってないんだけど。読経と戒名で30万って言ってあるよね」と葬式屋につっかかり、「戒名はテキトーにつけといて。ゲートボール好きな婆さんだったらしいからとりあえず”玉”の字入れとけばいいから」といった具合。リアルにこういう裏がありそうで辛い...

そんな中で姉が急死し、10年間音信がなかった妹が呼び出されます。妹さんは「お経なし火葬で42万」とふっかけられ、「引取を拒否することも可能です」と告げられ、「自治体の費用で火葬されて無縁仏として処理される」と補足される。

妹さんはその場で泣き崩れ、「ごめん姉ちゃん、私葬式もあげてやれないや..」と言っているのを見た主人公の朝子は「葬儀をしないのがお金だけが理由なら賭けてみませんか?」と亡き姉の貯金通帳を受け取りなんとかして葬式をやる方向に手を差し出します。

助けた理由と結果

そんな献身的な朝子に、妹さんは「なぜ?」と問うと朝子が15歳のときに同じ立場で父親を引き取り同じ決断を迫られていました。
その時、母親が「大変だろうけど安からに見送ってあげてよ、そのお嬢さんにとってはお父さんなわけだし」と自分がダシに使われて口説かれていると、自ら「お母さんは決めなくていい、私達は受け取りを拒否します」と言い放った過去が。

それを明かしながら自分はズルい人間だと自責していたこともあり、今回の弔いで自分の過去にケリをつけるつもりだと明かしました。

なんやかんやあって無事に葬式をすると、姉(水商売)の同僚が集まってきて「これを棺に入れて」と姉が資格のテキストを読みふけっていたことが同僚を通じて妹に告げられます。みんなは「姉がどんなに素晴らしい女性でどれだけ皆に愛されていたか」を語り、妹さんは涙を流しました。

そんな様子を見た朝子は「葬儀には遺された遺族の未来を明るく照らすような、そんな奇跡を呼ぶ力があるのかもしれない」と気づいてこのエピソードは幕を閉じます。

終わりに

葬式をするかしないか?豪華にするかしないか?は誰しもが直面する問題ですが、本書を読むと自分なりに思うことが出てくると思います。
個人的には、ぼったくり価格のようなものに付き合うつもりはさらさらないけど、亡くなったことを一区切りにするためにもこういうイベントって必要だよね、とこのエピソードを読みながら強く感じ、ストーリーのきれいさに泣けました。おすすめです。