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【島耕作/名シーン】172話の感想 : 土壇場の親子の再会シーンが泣ける

はじめに

島耕作の「【STEP173】GET A KICK OUT OF YOU」にて新しく社長に就任した中沢が、滅多に会えない愛人との隠し子と会うシーンがあります。このたった一話で描かれる物語が個人的に好きなので、同内容の書き起こしと感想を描いてみました。

尚、巻数で言うと17巻に収録されています。

内容

中沢は新幹線から部下の島に電話をかけ、「息子に会いたい、セッティングしてくれんか?短い時間だが晩飯でも一緒に食えればと思って」と依頼をします。島はそれを快諾し、ボクシングジムでトレーニングをしている息子の裕次にその旨を伝えました。

電話を終えた裕次は嬉しそうにジムのトレーナーに父に食事を誘われたことを話し、お店の名前を伝えるとトレーナーは「あそこは最高級のフランス料理屋や。羨ましいな」と返します。

するとここでテレビの放送にて中沢が新社長となったことがテレビで放送され、周りがパニックになっているシーンに。
それを見た裕次とトレーナーは複雑そうな顔を見せ、日本チャンピオンの裕次が中沢の愛人の息子であることがバレれば両者にとって大騒ぎになるとトレーナーは言いました。

結局、中沢と島はレストランで息子が来れなくなったことをウェイターに伝えられ、それに中沢は落胆せずに「うかつだったよ。あいつ、関西じゃ今やちょっとした有名人なんだ。多分、マスコミ報道の過熱ぶりを見て気をまわわしたんだ。」と理解を示すと、島も「良い息子さんですね」と応じます。

が、新幹線のホームにて帽子とサングラスをした青年が「お父さん、裕次です」と駆けつけてきた上で涙を流しながら「どうしても顔が見たくて来ちゃいました。社長就任おめでとうございます、これからも頑張ってください」と握手をすると中沢も「お前も頑張れ、世界タイトル期待しているぞ!」と応じます。

最後は発車した新幹線の中で眉間を抑えながら「年をとると涙腺が緩んでいかんな」と笑う中沢に無言の島。
ラストのコマは新幹線の引きの絵に以下の文字で終わり。

わずか30秒だったが、中沢さんと裕次君は最高の再会をはたした

感想

食事の場面で30分待つも来ない寂しそうな描写から、来ないことが伝えらた時の中沢が「あ、そう。じゃあ二人分、簡単なメニューにしてください。帰りの新幹線の時間も迫っていますから」とウェイターに伝えるシーン、最高にかっこいいんですよね。いい大人なので感情を抑える感じ。

また、さらにいいのは、来ない理由をきちんと推し量れているところ。あいつなりに気を遣ってくれたんだろう~と意図を汲み取ってあげるいい関係性に感激しました。

そして最後のやっぱり会いにきました!というシーンで涙腺崩壊。もともと好感度が高く描かれている親子でしたが、つくづく粋ですね。

終わりに

タイトルでもある「get a kick out of」は「非常な喜びを感ずる;刺激を受ける」という意味なんだとか。
たった一話でグッとくる、素敵な回でした。